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品質管理

1 本の針も逃さない ── Better Bags Myanmar 工場の断針管理体制

Jay Li
Jay Li事業開発マネージャー
8+ Years in the U.S.
5 分で読めます
#断針管理#X 線検針#異物混入#緬甸工場#日本品質#在庫針管理台帳#品質シリーズ Vol.01
1 本の針も逃さない ── Better Bags Myanmar 工場の断針管理体制

バッグ製造で最も恐ろしい「断針による異物混入」のリスクを 0 に近づける、Better Bags Myanmar 工場の断針管理体制を完全公開。在庫針管理台帳、Fjade X 線検針機、5 年記録保管まで、日本品質を支える仕組みを解説します。

1 本の針も逃さない ── Better Bags Myanmar 工場の断針管理体制

「断針管理とは?」── 在庫針管理台帳・X 線検針機・記録保管まで、緬甸工場の二段防衛を完全ガイド

「うちの商品の縫い目に、もしも針の破片が入っていたら ──」

バッグの仕入れ担当者なら、誰もが一度は背筋が冷えた経験があるのではないでしょうか。

私たち Better Bags Myanmar は、この「もしも」を限りなくゼロに近づけるために、20 年以上、ひとつの仕組みを磨き続けてきました。


はじめに ── なぜ「断針管理」がここまで重要なのか

縫製工場で日々何百本も使われている、ミシン針。普段は見えないこの 1 本が折れ、もしその破片が完成品の縫い目に紛れ込んでしまったら──。

エンドユーザーの指や肌を傷つける事故。 回収・廃棄に伴うブランドの信用失墜。 日本の製造物責任法(PL 法)に基づく賠償リスク。※1

バッグや子供用ランドセル、通学用リュックを扱う日本のブランド様にとって、「異物混入ゼロ」は妥協できない最低ラインです。

実際、日本玩具協会の ST 基準※2 や、各小売チェーンの納入仕様書では、「断針管理台帳の保管」「全件 X 線検針」を取引条件として明文化しているケースが少なくありません。

私たち Better Bags Myanmar は、創業以来 20 年以上、日本市場と歩んできた工場として、この「目に見えないリスク」を、仕組みと記録の両面で物理的にゼロに近づける取り組みを続けています。


お客様によくいただく 5 つのご不安

日本のお客様から最初の打ち合わせでお聞きすることの多い、断針・異物混入に関するご質問・ご不安を、5 つの代表例にまとめました。それぞれに、当社の応えを併記いたします。

お客様のご不安当社の応え
「中国・緬甸の工場で、本当にここまで細かく管理できるのか?」在庫針管理台帳は日本のお客様と 20 年かけて磨いてきた仕様。緬甸工場でもまったく同じフォーマットで運用しています。
「もし針が折れたら、本当に破片まで全部回収できるのか?」当日のライン全員が探索に入り、破片全数が揃うまで終業しません。当社では「対帳不一致は当日中に必ず解消」をルールとして徹底しています。
「X 線検針は全件、それとも抜き取り?」全件 100% です。緬甸工場 2 台(うち 1 台が Fjade SECUT-5030D)+ 中国山東工場 1 台の X 線検針機を、すべての出荷品が必ず通過します。
「管理記録は、何年保管していますか?」ロットごとに紐付けて 5 年以上。第三者監査・市場クレーム時の遡及調査に、書類のみで再現できる状態を維持しています。
「BSCI / SEDEX / 各社独自監査には対応しているか?」対応可能です。記録の閲覧・現場の見学・追加の検証稽古、いずれも事前申込にて対応しています。

ご質問が他にもありましたら、本文をご一読のうえ、文末よりお気軽にお問い合わせください。

類似のテーマ:第三者検品との二重チェック体制について →


私たちの二段防衛 ── 「台帳」と「X 線」

針による異物混入を防ぐ方法は、大きく分けて 2 つあります。

  1. 発生させない:使用中の針 1 本 1 本を厳密に管理し、折れた針の破片を「現場で必ず回収」する。
  2. 見逃さない:万が一発生した場合でも、出荷前に X 線検針機で 100% の最終チェックを行う。

私たちはこの 2 つを「台帳」と「X 線」の二段体制として運用しています。

なぜ「二段」なのか

理論上「ゼロ」と言い切れる検査体制は世の中にはありません。けれど、原理の異なる 2 つの方法で独立にチェックすることで、見落としの確率は加算的にではなく 掛け算的に下がる。これが二段にする意味です。


第一段:在庫針管理台帳 ── 1 日 1 行、1 本も狂わせない

断針管理台帳の手作業記録 + DOTEC NEEDLE の箱
断針管理台帳の手作業記録 + DOTEC NEEDLE の箱

工場の各ラインには、機種ごと・針型ごとに専用の管理台帳が置かれています。写真は、ある日の組み立てラインの記録です。

台帳のフォーマット

台帳のフォーマットは、長年お取引いただいている日本のお客様と共に磨き上げてきたものを採用しています。記入項目は、次の通りです:

項目意味
工場名MYANMAR BETTER BAGS COMPANY
針種型DPx17 18/110(DOTEC NEEDLE、日本製)
日付 / 曜日当日
使用前始業時、ライン上に支給される針の本数
使用数当日に使用した針の本数(折れた針を含む。折れた針は破片を回収し、当日の管理台帳に直接貼付)
使用後終業時、ライン上に残っている針の本数
担当者署名当該ラインのオペレーター
管理担当 サイン班長 / 品管担当の二重チェック

唯一のルール

「使用前 = 使用数 + 使用後」が成立し、かつ 折れた針の破片全数が当日の管理台帳に貼付されている ── この 2 条件を満たさない限り、その日は終業できない。

折れた針は、必ず破片までを工程フロアで回収し、当日の管理台帳に直接貼付します。破片の 1 つでも見つからなければ、ライン全体で再点検 ── 場合によっては、その日の生産分を全数チェックし直すことも辞しません。

「破片を物理的に台帳に貼り付ける」── このシンプルな運用は、①「数えれば誰でも一目で確認できる」可視性と、② 過去のロット記録を遡る際、紙面と物証が同じ場所にある追跡性を、私たちにもたらしてくれます。

1 日の断針管理 タイムライン

07:30
始業
使用前:針本数を台帳に記入(オペレーター + 班長 二重サイン)
09:00 12:00 15:00 17:00
針が折れたら、その都度 破片全数を回収し、当日の管理台帳に直接貼付。班長が現場確認 → 「使用数」欄に記入。
17:30
終業前 対帳
使用前 = 使用数 + 使用後
折れた針の破片が全数 台帳に貼付されているかも併せて確認
両方 OK
ライン終了 → 管理担当 最終サイン → 翌日へ
!どちらか NG
全員で破片探索 → 必要なら当日生産品全数再検査 → クリアするまで終業しない

写真の台帳右ページには、1 月分のあるオペレーターの日々の記録が並んでいます。493 本、476 本、463 本、458 本、461 本…… 1 本 1 本、毎日。

派手な仕組みではありません。けれど 「毎日 1 行、1 本も狂わせない」 を 20 年積み重ねてきたことが、私たちが日本のブランド様と長期取引を続けられている一番の理由だと、私たち自身も思っています。


第二段:X 線検針機による 100% 全件検査

Fjade SECUT-5030D X 線検針機による検査の様子
Fjade SECUT-5030D X 線検針機による検査の様子

台帳がどれだけ正確でも、人間が運用する以上、リスクをゼロと言い切ることはできません。だからこそ、私たちは「もしも」のために、もう一段の防衛線を用意しています。

それが、緬甸ヤンゴン工場に導入している 2 台の X 線検針機(うち 1 台が Fjade SECUT-5030D)による、出荷前 100% 全件検査です。

全件検査の流れ

  1. 完成品が梱包前ラインに到達
  2. 作業者が 1 点ずつ X 線機に通過させる
  3. デュアルモニターで金属片の有無を即時確認
    • 金具・ファスナーなど正規部品は事前にデータベース化
    • 想定外の金属反応があれば、即時ライン停止
  4. 異常時の対応
    • 該当製品をホールド
    • ラインに遡って原因特定
    • 同ロットの全件再検査
  5. OK 製品のみ梱包・出荷

X 線検針は、緬甸工場では合計 2 台、中国山東工場では 1 台 を配備し、「すべての出荷品が必ず通る」 運用としています。

「X 線は保険」ではなく「もう 1 つの正本」

X 線検針は「保険」ではなく、台帳と並ぶ「もう 1 つの正本」 です。台帳上の数字が合っていても、X 線で 1 つでもアラートが出れば、出荷は止まる。逆に X 線で 0 件でも、台帳が合わなければ、これも出荷は止まる。両方が同時にクリアしたものだけが、お客様の元へ届きます。


一般的な工場と、私たちの違い

それでもなお、「実際のところ、よその工場と比べてどこが厳しいの?」というご質問は、お打ち合わせの場でよくお聞きします。一つの表にまとめました。

管理項目一般的な縫製工場Better Bags Myanmar
針の購入元コスト優先(産地問わず)日本製 DOTEC NEEDLE 中心(ロット管理付)
日々の台帳週次 / 月次集計が一般的1 日 1 行 + 二重サイン(毎日対帳)
折損時の対応破片回収できれば終了破片全数回収まで終業不可(破片を当日の管理台帳に直接貼付)
出荷前検針抜き取り検査 / 一部対応全件 100% X 線検針(緬甸 2 台、Fjade SECUT-5030D を含む + 中国山東 1 台)
記録保管1 年程度ロット単位で 5 年以上
第三者監査対応都度準備 / 不可事前申込にて即時対応可能

「派手な機械より、地味な台帳を 20 年続けるほうが難しい」── これは、私たちが日本のお客様から最もよくいただく評価です。


記録は 5 年以上保管 ── 「後から、必ず辿れる」

台帳と X 線検針のログは、製造ロットごとに紐付けて 5 年以上保管しています。

これは、

  • お客様から「あのロット、念のため確認したい」とお問い合わせがあった際、
  • 第三者監査(BSCI / SEDEX / 各ブランド独自監査)の際、
  • 万が一の市場クレームで原因を遡及する際、

すべてに対応できるようにするためです。

「いつ、どのラインで、誰が、どの針を使い、どの製品が、いつ、どの X 線機を通って、何時に出荷されたか」 ── この一連を、書類だけで再現できる状態を維持し続ける。これが、私たちが言う 「日本品質」 の中身です。


なぜ、ここまでやるのか

正直に申し上げると、ここまで厳密な針管理は、製造原価を確実に押し上げます。台帳記入の時間、班長による二重チェック、X 線検針機の保守費用、ライン停止のリスク。

それでも私たちがこの体制を維持しているのは、過去 20 年以上、日本のお客様 ── アネロ(Anello)様※3をはじめとする長期パートナーの皆様 ── から、この水準を「当たり前のものとして」期待され続けてきた からです。

そして、お客様の「当たり前」に応え続けることでしか、20 年は続かない、ということを、私たち自身が一番よく理解しているからです。

製造の中心地を 2023 年に緬甸ヤンゴンに移しても、変わらないものがあります。それは、「お客様が知らないところで起こることに、一番厳しい目を向ける」 という、創業以来の姿勢です。


まとめ

項目私たちの取り組み
針の購入DOTEC NEEDLE(日本製、ロット管理付き)
日々の管理在庫針管理台帳 ── 1 ラインごと、1 日 1 行、二重サイン
折れた針の対応破片全数回収まで終業不可、破片は当日の管理台帳に直接貼付(紙面 × 物証 一体管理)
出荷前検査X 線検針機 100% 全件検査(緬甸 2 台、うち 1 台が Fjade SECUT-5030D + 中国山東 1 台)
記録保管ロット単位で 5 年以上
適用範囲緬甸工場のすべての出荷品、中国工場のすべての出荷品
第三者監査BSCI / SEDEX / 各ブランド独自監査 対応可能

お客様の現場をお守りすることが、私たちのいちばんの仕事です。

製品の中に「あるはずのないもの」が混ざることほど、ブランドの信頼を一瞬で奪うものはありません。

私たちはこれからも、新しい設備、新しい標準、新しいお客様の声を取り入れながら、「1 本の針も逃さない」 を、毎日積み重ねていきます。

ご相談・工場見学・サンプル依頼など、ご質問がございましたら、どうぞぜひ一度お気軽にお問い合わせください。


出典

  • ※1 製造物責任法(PL 法、平成 6 年法律第 85 号)。製造物の欠陥により生命・身体・財産に損害が生じた場合の、製造業者の損害賠償責任を定めた法律。
  • ※2 一般社団法人日本玩具協会が制定する玩具安全基準。子ども向けバッグ・ランドセル等が該当する場合がある。
  • ※3 株式会社アネロは当社の長期パートナー企業の 1 つ。本記事における名称使用は事前確認のうえ掲載しています。

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著者について

Jay Li
Jay Li事業開発マネージャー

グローバルな視野を持つ家族経営メーカー、Better Bags の次世代を担う者として、私は米国ペンシルベニア州での 8 年以上にわたる学業と実務経験を礎としています。Penn State University と Carnegie Mellon University の卒業生として、実証された国際的な専門性と異文化コミュニケーション力をお客様やパートナーの皆さまにお届けできることを誇りに思います。私の使命は、東洋と西洋それぞれの強みを結びつけ、世界のどこにいらっしゃるお客様にも、優れた製品・スムーズなプロジェクト進行・確かなアフターサポートをお届けすることです。

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